遺品整理と生前整理はよく比較されますが、故人が残したモノや財産を遺族が整理するのが、遺品整理です。一方、生前整理は本人が行うもので、整理をすることによって人生を身軽にし、遺族にも安心を与えるものとなっています。
ここでは生前整理と遺品整理の方法、プロの活用について詳しくお伝えしましょう。
1. 生前整理とは?
まず生前整理とは、なんのために行うのでしょうか。
以下にはその理由や対象、タイミングなどをお伝えします。
1-1. 生前整理は自分と遺族のため
生前整理をしようと思った理由のなかで多いのが、「親の遺品整理で苦労したから」というものです。貯金や不動産といった財産の整理もさることながら、家具や衣類・食器といった、生活用品の整理は想像以上に時間と体力・精神力を消耗します。
自分が死んでからまで子どもに負担をかけたくない、そしてなにより自分自身が身軽になって思い残すことなくこれからの人生を楽しみたい…そういった思いから近年、生前整理をする人が増えているといいます。
1-2. 整理する対象
生前整理の対象は衣類や生活用品・本・書類・写真など形あるものだけでなく、個人情報・財産や医療に関する情報・交友関係、死後の希望など多岐に渡ります。形あるものは要・不要の区別をし、形のないものはエンディングノートなどに情報と思いを書き残しましょう。
1-3. 生前整理のタイミング
生前整理は何歳になったらするものという決まりはありません。子どもの独立や定年退職・還暦などをきっかけにはじめる人もいますが、40代50代あたりが心身ともにはじめやすいタイミングでしょう。
2. 生前整理の方法
生前整理は具体的に、どのような方法で行えばよいのでしょうか。
以下に整理方法を詳しくみていきます。
2-1. 情報と気持ちの整理
体裁はとくに決まっていませんが、市販のエンディングノートを使えばあらかじめ項目ができているので、書き込みがしやすいことでしょう。
書き残すことは自分自身の記録や記憶としても役に立ちますが、家族と共有することでさらに有意義なものになります。たとえば認知症や寝たきりになったとき、あるいは延命措置の判断をしなければならなくなったときなどがあげられることでしょう。さらに遺産相続をするときにエンディングノートがあれば、自分の意思を家族に伝えられます。
2-2. モノの整理の方法
モノが多すぎると床置きが増え、転倒しやすくなり掃除がしにくく不衛生になります。また必要なモノが取り出しにくく姿勢に無理がかかり、身体的負担が増えるでしょう。そうしたことを防ぎ元気で暮らすためにも整理をすることはおすすめです。
整理の方法は要・不要を区別し、不要なモノを取り除くというシンプルなものとなっています。小さなスペースからはじめて成功体験を積み重ねていけば、知らぬ間に家中の整理ができているものです。また要・不要の判断がしにくく迷ったモノは、無理に捨てず一時保管します。
保管期限が過ぎてもまったく使わなければ、処分の対象です。また書類など重要なものを保管する際は、家族にも一目でわかるよう箱に目印をつけておくと安心です。
思い出の品はしまったままにせず、生前整理を機に部屋に飾ってみるのもよいでしょう。しかし自分の死後は今使っている大事なモノでも、ほとんどが使い手のいない不要なモノになってしまいます。それらをどのように処分するか、残したいモノがあるならだれに譲りたいのか、その人は受け取ってくれるか…そうしたところまで考えて整理をしましょう。
3. 一人では難しい場合はプロの手を借りる
整理することが多すぎて、ひとりの手には追いきれない…そういった際には、ひとりで抱え込む必要はありません。
さまざまなケースをみていきましょう。
3-1. モノが多過ぎる場合
モノが多過ぎてゴミ屋敷化してしまうと本人や家族だけでは手に終えなくなり、精神的にも追い込まれていきます。このようなケースでの整理では作業の人手・運搬車・ハウスクリーニングが必要となるため、片付けと不用品回収をしてくれるプロの手を借りる方が賢明です。
3-2. 整理収納を学びながら片付けたい場合
何度片付けてもまた散らかり収納がうまくできない人には、整理収納アドバイザーなど片付けのプロと一緒に整理収納の方法を学びながら、一緒に作業することをおすすめします。基礎を身につければリバウンドしにくく、今後快適に暮らせるようになることでしょう。
3-3. 売りたいモノがある場合
高価なブランド品や貴金属・骨董品・着物などもまったく使っていない、今後も使う予定がなさそうなら生前整理を機に、買取ってもらうのもひとつの方法です。ただし訪問買取で押し買いの被害にあわないよう、信頼できる業者を選びましょう。
3-4. 法律など専門知識が必要な場合
相続や財産管理に関する整理では、弁護士・司法書士・税理士など専門家の知識や、書類作成が必要になることが多いものです。いざというときに慌てないよう、早めに必要な専門家を探しておきましょう。
4. 遺品整理
遺品整理の際には、いくつかの注意しておきたいポイントがあります。
そのタイミングや考えかたをおさらいしておきましょう。
4-1. 遺品には遺産とそれ以外の物品がある
遺品とは故人の残した動産全体を指しますが、大きくわけると財産的価値がある「遺産」と、それ以外の物品(生活用品や形見の品)になります。遺産は勝手に所有・処分・売買することはできず、決められた期間内に相続手続きをしなければなりません。
一方、財産的価値が低い生活用品は特別な手続きは必要ありませんが、家一棟分の家財道具や生活用品を処理しなければならないため、時間と手間・費用がかかります。
4-2. 遺品整理のタイミング
遺品整理はどのタイミングで行うのがよいのでしょうか。故人が賃貸のひとり暮らしの場合は、通常亡くなってから1ヶ月以内に家財を撤去しなければなりません。その間に遺品整理となると、かなり慌ただしいスケジュールになります。故人と遺族が離れて暮らしていた場合は、遺品整理のために何度も足を運べず、遺品整理業者を利用して葬儀直後に行うこともあるのです。
一方、持ち家の場合はかならずいつまでにという期限はありませんが、遺産と名のつくものがあれば逆に相続手続きが終わらないと、遺品整理をはじめられません。
一般的にはさまざまな手続きが一段落し、悲しみが癒えはじめる四十九日や一周忌後に行うのが多いといいます。その際たとえ故人とは親子関係であっても、ひとりで勝手に行うのではなくトラブル防止のため、相続人や親戚とよく話しあってからはじめましょう。
4-3. 遺品の仕分けに迷う
遺品は一般的に金銭的価値があるものは相続され、思い出の品は形見わけ、まだ使えそうなものはリサイクルに残りはゴミとして廃棄されます。しかし故人のものはついなんでもとっておきたくなり、整理がなかなか進まないこともあるかもしれません。遺品整理に悩んだら、遺品整理士に相談してみるのもよい方法です。
5. 遺品整理士に依頼する
もし生前整理や遺品整理に迷ったら、その道のプロである「遺品整理士」に依頼するのもひとつの手でしょう。
以下では具体的なサービスなどを簡単にご紹介します。
5-1. 遺品から故人の想いを汲み取る
遺品整理士は紙切れ一枚でも故人の想いがつまった遺品と考え、一つひとつを供養する気持ちで接する、遺品整理のプロです。依頼主が仕分けに迷うものでも、故人のエピソードを聞きながら迅速丁寧に整理を進められます。
5-2. プロならではの技術とサービス
遺品整理士の仕事は遺品の仕分けや不用品の回収だけでなく、故人宅に埋もれている貴重品や重要な書類を探し出すなど、特別な技術をもっているのです。また回収した遺品のお焚き上げや形見わけ配送サービスなど、遺族の心身の負担を減らすさまざまなサービスもあります。
6. まとめ
生前整理は、自分の未来と遺族の安心のために行うものです。一方遺品整理は、故人への慈しみと遺族の安らぎのために行うものとなっています。どちらも人と人の絆がつくる、やさしい整理です。
「株式会社カンナ」はお客様の立場に立ったさまざまなサービスをご用意し、心を込めて作業いたします。生前整理や遺品整理をご検討の際は、弊社までお気軽にご相談ください。